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家族には、会社を辞めたことは知らせなかった。正社員と同じ時間帯で働くバイトの口を探し、それまでとほぼ同じように朝出て夜帰る生活を続けた。食費だけはなんとか入れ続けた。正社員の口も一応探したが、また落ち続けたので、すぐやる気をなくした。
それも30を過ぎると、次第に口がなくなってきた。そのたびにアルコールの量が増えた。それでも、それが原因で首を切られることはなかった、と思う。少なくとも、表だっては。
そうこうするうち、ついにまったく働き口がなくなった。本気で何でもするつもりならまだあったかもしれないが、そこそこ食えるとなるとイヤな思いをしてまでやってられるか、という気になる。
国民年金は、払っていない。会社を辞めるとともに支払いは自分でするようになったのだが、もちろんそんなのを払っていられる余裕はない。減免制度といって、収入が少ない場合は申告すれば半額にしたり全額減免にしたりできて、その期間は未払い扱いにならないというので申告したのだが、ふざけたことに却下された。個人の収入ではなく、世帯の収入で審査するので、夫婦で年金収入があるうちの家族は対象にならないというのだ。年金を払っておいて、その中からまた払い返せというのだろうか。人をバカにするのもいいかげんにしろ、と思って確信的に払うのをやめた。
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