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 それからひとりでに足が店の奥に向かった。冷えたビールが並んでいる。手が自分のものでないように伸びて、ロング缶を一本取って籠に入れる。まだ焼酎のミニボトルが一本、鞄の中にある。万引きしたと思われないだろうか。レシートはとってあったか。まあ、実際に万引きしたわけでもないのだから、びくびくすることはない。罪悪感というのは、癖になるものだろうか、嘘をついていると、別に悪いことをしていなくても、しているような気分になってくる。  もちろん何の問題もなく、カップラーメンとビールを買う。ラーメンはすぐお湯を入れるからと、袋に入れるのは辞退する。これでゴミの減量にはなるだろう。こんなところでちょっとした“いいこと”をしても始まらないのだが。  アイスクリームが入った冷蔵庫のガラス蓋の上でカップラーメンを包んでいるビニールを破り、蓋を開けてスープとかやく、チャーシューがそれぞれ入った小さなビニール袋を開けて麺の上に散らす。ビニール類は、それぞれきちんと燃えないゴミのコーナーに捨てる。お湯を注いで、図書館に向かう。隣の駅近くの公園まで歩くと、時間がかかりすぎて伸びてしまう。いささか変だが、図書館の裏で食べることにする。  いざ裏に来ると、昼休みだからか自転車でやってくる来館者がけっこういる。その眼が気になったが、もたもたはできない。植え込みのコンクリートの枠のふちに腰を下ろした。  スーツ姿でビール片手にカップラーメンをすすっているというのも、妙な図だろう。     
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