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「ところで、アカデミーにいらっしゃったという事は、平治郎さんは人間界への転生がご希望なんですか?」
「いやぁ、まだ、決めかねておるところなんです。というのも、ちょっと人を探しておりまして。あの、藤原トヨ子。ご存知ないですか?」
平治郎は4つ折りにされた紙を開き、キナコに差し出しました。
「これは?」
キナコは紙に描かれた肖像画を一旦確認し、不思議そうに平治郎を見つめます。
「妻です。ああ、もちろんあっちの世界からこっちへは何も持って来られなかったので、こっちで描きました。結構うまく描けていると思うのですが…」
「平治郎さん、絵、上手ー!!でも、お見かけした事はないですね、すみません。第一エリア、第2エリアの方へは?」
「もちろん、行きました。どちらも該当者なしと言われまして。こちらへ参った次第です。」
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