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外来待合
「山崎さーん、山崎裕子さーん。」
名前を呼ばれ、長椅子の端に座っていた女性が立ち上がった。受け付け係は目があうと優しい表情で会釈をした。
「山崎さん、初めてですね。今日はどういったことで来られましたか?」
「あの…検査で。妊娠の…」
言葉が終わらないうちに受け付け係は手際よく引き出しを開け、当該書類を出す。それをバインダーに挟み、メモを取りながら次の質問。
「そうですか。市販の検査薬は使って見られました?」
「はい。」
「どうでした?」
「陽性…でした。」
「線ははっきりと見えてました?」
「ええ。はっきりと…」
「わかりましたぁ。では問診票にご記入お願いしますね。書けたら、こちらに提出してください。わからないところは空けておいてもらっても構いませんから。」
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