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ペンと問診票を女性に渡し、彼女が元の席に戻って問診票の記入を始めたのを確認すると、次の名前を呼んだ。
「春川さーん。次、内診へどうぞ。」
また一人が立ち上がり奥の診察室へ向かっていく。入れ違いに診察を終えた若い夫婦がスタッフに案内されながら出て来た。
「え?!来年5月って、もう、そんなに予約埋まっちゃってるんですか?」
素っ頓狂な声がして、待合にいる20名分の視線が夫に注がれる。
「ええ。ですから、もし当院でのご出産をお考えでしたら、お早めにご予約ください。」
スタッフに促され、待合の空いている席に座る2人。
「申込金は10万円でお申し込みから2日以内でお振込か、当院にお持ちいただくことになっております。お支払い終了と同時にご予約完了とさせていただいております。」
山崎裕子はその会話を聞きながら、何故か少し戸惑っていた。
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