0人が本棚に入れています
本棚に追加
「目覚めるかどうかの方法は? なにか試してみたりは?」
そう聞こえて、あの時からのことを思い出す。
私を激しく揺さぶって、みんなが泣いていたこと。
泣きわめいて、私を叩いたりもした。
あれは、実はとっても痛かった。
それだけ叩かれていたら起きられる気がしたほどに。
結果的に起きずに、今に至るわけだけれど。
それから、体をあっつあつのタオルで拭きながら、私に話しかけてきたり。
会話が出来たらって、何度も思った。
あとは魔法使いが来たのも知っている。
言葉になっていない、よくわからない呪文を唱えていた。
体がピリピリした時もあったけど、そのたびに小人のみんなの落胆した声がしたので、ダメだったんだなって気づいた。
そもそも自分が起きられていない時点で、気づいていたけど。
「占いもしたんだけど、こんなことを言っただけで帰ってしまった」
「そうそう」
「言っていた、確かに」
「そうだ。それをずっと守りながら、白雪姫を守っている」
「守った。守ってきた、ずっと」
「そう言えば今日はその日じゃないのか」
「そうだ、そうだ」
占い?
それは初耳。
どんな占い結果だったのか、近くで話してくれていないから知らないんだよね。
(すっごーーーーっく、気になる)
目覚めることがなくなってから、なにかしてきたの? 今の話だと。
私に何かしてくれていたの? 記憶にない、なさすぎる。
「準備の時間だ」
「今日の当番は誰だっけ」
「誰だった」
「忘れた」
「どうする?」
「どうする?」
「じゃんけんか?」
占いで、一体何があったのかな。
当番制?
何をされてきたの? 私。
「じゃーんけーーん」
ひときわ大きな声の後に、「ほい!」と誰かが言ってからおかしな感じがした。
誰かに決まったことを、誰一人として口にしないし、妙な静けさで気持ちが悪い。
誰に何をされるのかな。私。
誰か早くなにかしゃべってよ。
「……まさか、こんなことが起きるなんて」
しゃべったと思ったら、不穏な空気になってるし。
「でも、じゃんけんは絶対だ」
「いや。今回のは、違うだろう」
「でも、じゃんけんは」
「まてまてまて。絶対が絶対じゃない場合も」
「いや、遠い昔から絶対のはずだ」
「……いいのか? これは」
「仕方がないだろう」
「仕方がないって言ってもだな、これに関してはちょっとまずくないか?」
一人がそう切り出すと、場がざわついた。
最初のコメントを投稿しよう!