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「やめた方がいいよ、白雪姫」
「聞かない方がいいんじゃない?」
小人さんたちが、あたしの袖をぐいぐい引っ張る。
そんなに聞いたらショックなやり方なの?
びりびりうなぎでも巻きつけるのかしら。
別の薬でも使う?
めいっぱいくすぐる?
(いやいや……そんな子供みたいなことはしないか)
固まったまま悩んでいるあたしに、王子が告げる。
「もしもお前が、俺が話す方法に協力するってんなら、教えてやってもいい」
「協力…って」
「聞きたくないなら、それでもいい。俺はこの場を立ち去って、親父に状況を報告するだけだ」
半端すぎて、もやもやする。
なんていうんだろう、ものすごくくすぐられる。
気にしてしまう。
けど、協力、だよね。
もう目覚めているんだから、おかしな方法じゃないよね。……多分。
「わかった」
低く、短く、気持ちを伝える。
そんな私の顔を見て、王子は「へえ」とどこか面白げに笑った。
「女に二言はないな」
「な、ない!」
憶つきつつも返すと、顔を寄せてきた。
「近いってば」
手のひらで押し返そうとすると、「協力はどうした」っていう。
「わかってる」
許せる範囲内に顔を押し返してから、彼と向き合う。
すると、彼の指先があたしのあごに触れた。
「ちょ……」
「協力」
「…う」
「じっとしてな」
そういって、もう一度顔を寄せてきながら「協力するんだろ?」って囁く。
女に二言はないって返事しちゃったし、従うしか知る方法がない。
「早くしてよ」
彼から甘い香りがする。
(やだ。なんか緊張しちゃう)
見つめあったまま、至近距離まで来てから彼がぼやく。
「こういう時は、目をつぶるもんじゃねえのかよ。女って」
って。
「こういうって」
「……まだわかんねえの? 目覚めの方法」
呆れたような、どこか面白がってもいるような彼。
「わかんない」
口をとがらせながらそう返すと「じゃあ」といってから、あたしの体を軽く押した。
バランスを崩して、それまで横たわっていた場所に倒れこんだ。
そうして、
「知りたいなら、もう一回眠れ。そうすりゃ恥ずかしくもなく理解が出来る」
と告げた。
眠る? もう一度?
「え? 毒りんご食べるの? あたし」
反射的にそう返すと、ぶはっとふき出してからおなかを抱えて笑う。
「なんでそんなに笑うの? そういうことじゃないの?」
「お前って…お前って」
そう言いながら大笑い。
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