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「そうして奴らはイカれたティー・パーティーを開くために、五十人ばかり集まって、ボストン港にやって来た」  勉強机の上から取り上げた地球儀をくるりと回してジェフは言う。  イギリスからアメリカに飛んだジェフの指先を眺めてアビーは思う。意外と綺麗な爪の形をしている。 「イギリス人が紅茶好きなのに対して、アメリカ人がコーヒーばかり飲むのは、三百年前のこの事件が発端なんだって」 「太平洋周りなの?」 「あ」  ジェフは昔から少し間の抜けたところがある。そう思ってアビーはクスクス笑う。  一見遠く見えるアメリカとイギリスは、大西洋を挟んで隣同士だ。アビーとジェフのように。
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