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「アビーこそ、服と化粧品と恋愛の話ばっかりじゃないか」  下らないよ、と言いたげにジェフは唇を尖らせる。  そう言いたいのはアビーの方だ。埃を被った教科書の中のティー・パーティーより、先週のパーティーでエリカとヤンがキスした事の方が、アビーにとっては事件なのに。 「だから、ジェフも紅茶しか飲まないの?」  奪い取ったジェフの地球儀をくるくる回しながら、アビーは聞く。  ジェフの話の、今と昔が繋がる感じは悪くなかった。イギリス人は紅茶が好き。ジェフは五歳までイギリスに住んでいた。ジェフのことは何だって知っているけれど、イギリスに行ったことはない。 「僕だってコーヒーくらい飲むよ。学校のカフェテリアにはそれしか置いてないし」 「コーラとファンタもあるじゃない」 「あんな砂糖のかたまり飲みながら、ダイエットとか言ってるの?」  ジェフは呆れた顔をする。アビーだっていつも飲んでるわけじゃない。 「僕が家で紅茶しか飲まないのは、外でまともなお茶が飲めないからだよ。それと、アビーが好きだから」 「え」
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