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足元のノートの文字をまじまじと見ながら、ほうほう・・・ふんふん・・・とおかしな相槌を打っている。
ふと爺さんは俺を見上げると、顔をしかめた。
「なんか、言わんかい」
__言わんかいって、言われても・・・・・
自分でも顔が引きつるのがわかる。
爺さんは何かを探すように周りをキョロキョロすると、見つけた!と言うように何歩か歩くと、消しゴムの上に腰をおろした。
白髪を綺麗にまとめ、帽子を被っている。
水干のようなものを着て、手にはつまようじみたいな杖を持っている。
面長の顔はそれなりにしわが刻まれており、顎には髪と同じく真っ白な髭を蓄えている。
「爺さん・・・・本物?」
やっとでた言葉がそれだった。
自分でもボキャブラリーのなさに、思わず失笑を漏らす。
「本物・・・・とは、何に対しての本物・・・かな?」
爺さんは至極まっとうな質問を返す。
確かにそうだ。
「いや・・・・、生きているのかと思って・・・・」
俺の言葉に爺さんは困ったように眉をひそめる。
「それは極めて難しい質問じゃな・・・・」
__いや・・・、そこ悩むのかよ・・・・
俺は質問を変えてみる。
「爺さん・・・・って、人間?」
爺さんは顎の髭をさすりながら、『う~ん・・・』と考えている。
__それも迷うのかよっ
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