疫病草

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 しばらくして香織から連絡があった。随分と香織と会っていなかったが,定期的に増えていくフォルダを見ていたので,実際に会っている時よりも近くにいるような気がしていた。 『会ってほしい。淳史君にはもう会わない』  最後に香織に会ったのは,淳史に貸し出した日だったので三カ月ほど経っていた。駅前の雑踏で別れる瞬間の香織の表情を思い浮かべたが,どこか違う不自然な表情しか浮かばなかった。  俺は何かあったのかと思い,すぐに淳史に連絡をした。淳史は電話に出ると,察していたのか香織のことを聞く前に自分から答えてきた。 「悪いな……正直なところ俺も飽きちゃって。香織から連絡いったんだ? もうあいつには会わないつもりだから。今度,誰か紹介できそうなのがいたら,悠に連絡するんで,悪かったな」  そう申し訳なさそうにそう言うと,これから出掛けるんでと電話を切った。淳史が飽きたというのは,なんとなく予想できていた。淳史も香織の従順なだけのつまらないセックスと荒れた肌に嫌気がさしたんだろうと思った。  俺は渋々香織にLINEを送り,その日の夜に会うことにした。久しぶりに会うというのに気持ちはスッキリせず,できることなら会いたくない気持ちのほうが強かった。  それでも会わなくちゃいけないと思い,呑み屋だと話せないこともあるので以前のようにラブホに直行した。部屋に入ると香織の後姿が以前と別人のように思えた。長い黒髪はやけに大人びていて,小さな背中が色気を感じさせた。  シャワーを浴び,ベッドのなかで散々フェラをさせたあとに淳史となにがあったのかを聞いた。久しぶりに会っても,香織を抱きたいとは思えなかった。  最初はただセックスをして,言われた通りに撮影をしていただけだったが,淳史から他の男たちも交えて複数でやっているところを撮影したいと言われた。  香織は俺の命令だったら聞くが,淳史の命令は聞かないと言い張り喧嘩になったようだ。  俺としては,香織が淳史だろうが他の男を交えて複数でやろうがどうでもよかった。ただ,香織が俺の言うことしか聞かないと言ったのは少し気持ちがよく,男として淳史よりも勝っているようで嬉しかった。 「じゃあ,香織。俺が命令するから複数でやるか」 「え……淳史君がいるのはヤダ……」 「じゃあ,淳史なしで,俺がネットで男たちを募集するから」 「ゆう君がその場にいてくれるなら……」 「じゃあ,俺が撮影するよ」 「……」  香織は黙っていたが,俺が男たちを集めることは拒否しなかった。
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