疫病草

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 集合場所のカラオケボックス前に着くと,それとわかる男たちが待っていた。  目印として赤い何かを身につけるよう事前に連絡をしておいたので,赤い帽子,赤いバンダナ,赤い鞄,赤い紙袋とそれぞれが目印を身につけ,お互いに認識していた。 「どーも,ユウです。こんにちはぁ~」  明るく声をかけると,全員慣れたように愛想よく笑顔で挨拶を交わした。それぞれ約束通り赤い目印をしっかりと目立つところにつけていたので,それが逆に変に悪目立ちしてしまい,恥ずかしかった。 「じゃあ,とりあえずカラオケ入りますか」  俺がそう言うのとほぼ同時に四十代前半の中肉中背の単独男性が細やかな気配りをみせ,さっと受け付けに行き部屋をとってきた。その動きは全員が感心するほど手慣れていて,カラオケの会員カードも財布から素早く出してほんの少しだがディスカウントをしてもらっていた。 「皆さん,五階の二十三号です。エレベーターは六人だとちょっと狭いのでニ組にわかれましょう」  そう言いながら,エレベータのボタンを素早く押し,エレベータに乗る人数の割り振りもしてきた。呆気にとられながら眺めていると,笑顔で俺に何度も頭をさげてきた。そして部屋につくと,すぐに別の三十代前半の単独男性が全員からドリンクの希望をとり,代表して室内の電話で注文をした。  全員が席に着くと,ようやく落ち着けると思ったのだが,音を出さないと部屋が暗くならないシステムだったので,別の三十代後半の単独男性が二十曲ほど適当に入れてくれた。  目の前であまりにも気が利くチームプレイを見せられて,全員面識があるんじゃないかと疑うほどだった。
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