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「わたしは,ゆう君のこと大好きだよ。いまでも大好きだし,私に『愛』って名前をつけてくれたときは嬉しかった……他の人に抱かれてても,みんなにゆう君につけてもらった『愛』って呼ばれたから,わたしはずっとゆう君と一緒にいるような気がした……」
「香織……本当にごめんな……」
「ゆう君に出逢えて本当によかった……。わたしにとって,ゆう君はすべてだから……」
「本当に悪かった……。俺が……俺が悪かった……」
微かだが,いつもベッドでフェラをしていたときの香織の懐かしい匂いがした。
「ベンチに置いてかれちゃったとき,わたしの周りにリンドウが咲いてたんだよ……」
「え……? リンドウ……って?」
「青紫色の綺麗なお花……疫病草ってよばれるお花……」
「え……?」
「リンドウの花言葉ってね……『悲しんでいるあなたを愛する』っていうんだって。あのときのわたしの気持ちと同じ……ゆう君,ほんとはすごく寂しそうだったしゆう君もきっと悲しいんだと思ったの……」
「え……」
「わたしはいつまでも,ゆう君を愛してるし,ずっと一緒にいたいから……ゆう君を一人にしないから……ゆう君,私のお肌のこと,一回も気持ち悪いって言わなかった……嬉しかった……」
「い……いや……あの……えっと……」
「でもね……知ってる。ゆう君も気持ち悪かったよね……だから潰したの。自分の顔を潰して,ゆう君に褒めてもらおうって……わたし,ゆう君のためなら,なんでもするよ……」
そう言うと香織の腕が俺の身体に巻き付いてきた。
ゆっくりと意識が遠くなっていき,香織に抱きしめられながら,ゆっくりとどこまでも堕ちていくのがわかった。
「ゆう君……愛してる……」
すべてが真っ暗になった。独特な臭いが纏わりつき,黒い液体のようなものの中に沈められていくような感じがした。
「嬉しい……一緒になれる……」
「ずっと……ずっと……一緒……愛してる……」
「もう……離れないでいいんだね……ゆうぅぅぅぅぅぅ君」
「いゅぅぅぅぅうぉぉぉぉうぅぅぅくぅぅぅぅん」
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