疫病草

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 次の日の昼過ぎに香織からLINEがきていた。眠い目をこすりながらスマホに表示された時間を見ると,13時を少し回ったところだった。  スマホの画面には,朝まで淳史と一緒だったこと,これから定期的に会う約束をしたこと,いろんな撮影をされたこと,すべて俺の許可があったので,香織は逆らわなかったことが映し出されていた。  定期的に会わせる約束をした覚えはなかったが,そんなことはどうでもよくなっていた。  俺が処女を奪い,何度も抱いて育てた女が他の男を知ったことに,嫉妬のような,大切ななにかを汚してしまったような,胸が締め付けられるような不思議な感覚が広がっていった。 『これから淳史の言うことに従うように』  平然を装い,香織には素っ気のない返信をした。たった一文を入力するだけなのに,驚くほど手が震えていた。やってはいけないことだったのだろうか,そもそも香織に対して嫌悪感しかないのになぜ一緒にいるのだろうか,頭の中でまとまらい考えが渦を巻くようにして俺を混乱させた。 『ゆう君がそう言うなら,言われたとおりにするね』  どうでもいいと思っていたセフレに情が湧いていたことに驚きつつも,淳史から連絡が無いことに腹が立った。  いつの間にか香織に申し訳ないという気持ちが消え去っていた。ただ,自分のモノを他人に貸したという現実を受け入れるのにまだ抵抗があった。
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