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しばらくの間,淳史からも香織からも連絡がなかったが,淳史から送られてきた画像保存用のサイトを確認するとファイルが四つに増えていた。
「いつの間に……なんだかんだ言って,しょっちゅう会ってんじゃん……」
すべてのファイル名が日付だったので,いつニ人が会ったのかはだいたいわかったが,連絡がないことに複雑な心境になった。
ファイルを開いていくと,同じような画像ばかりですぐに見飽きてしまった。
淳史も飽きもせず同じようなアングルの画像ばかり撮影していて,変に真面目なところに関心するだけで嫉妬もなければ罪悪感もなかった。
画像で見る香織は,顔が写っていないとスタイルがよく,やけに美人に見えた。いままで俺が気がつかなかった香織の姿がそこにはあった。
こんな女だったっけ? と思いながら,画像を適当に見ていくうちに香織の表情がわかる画像が一枚もないことに気づいた。
「なんか,引き気味のアングルとバックばっかりだな……あとは局部のアップ……顔は手とか髪の毛で隠してるけど,香織が嫌がってんだろうな……顔を撮られるの……」
いくつかの画像を眺めていると,おかしな画像が目に留まった。それは香織の上に覆いかぶさるようにしている淳史が映る画像だったが,香織の顔の部分が真っ黒になっていた。
「なんだ……この画像……影か? それとも髪の毛か?」
画像を拡大してみたが,そこに映る香織の表情は真っ黒で見えなかった。何枚も撮っていれば,時々こんな画像もあるだろうと思いながら,次々と画像を送って行った。
「ん……? また?」
その後,複数枚に同様の顔が真っ黒になった画像があったが,淳史のスマホの調子が悪いんだろうと思い気にすることをやめた。
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