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神頼みの行方
初めての神頼みは中学二年生の頃だった。
私の好きなアーティストのライブが近所で行われることになって、そのチケットの争奪戦で私は両手を組んで「お願い神様、どうか当たってください」と祈ったのだ。
それが功をなしたのかーーいや、神様がこんな神頼みに応えてくれたとは今となっては思えないがーー私は無事に自分のチケットをもぎ取ることに成功した。
「ありがとう、神様!」と声高々に叫んだのは思い出深い。
次に神頼みをしたのは中学三年生の頃だった。
受験シーズンも佳境を迎えた冬、緊張に悴んだ息を吐きながら臨んだ高校受験。痛むお腹を擦りながら「神様、私に勇気をください」と切なげに祈った。すると不思議なことに腹痛は治まり、何故か私は戦える、という気概が心に宿ったのだ。
しかし、それも持ったのはその日までで、合格発表の前日までは四六時中布団を顔まで掛けて「お願い神様」と震えていたものだ。
そして迎えた合格発表の日、三月も終わりに近づき、その日はほのかに暖かったはずなのに私の体は震えに震えていた。
祈り続けた結果、固まりきった手には豆ができ、ものを持つことさえ困難になっていた。
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