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公開された合格発表者。「神様、神様、お願い」と壊れたように呟き続けて遂に見つけた自分の番号。
体から力が抜けたようだった。「ありがとう、神様」と涙を流しながら感謝を述べた。
その日、私は有名私立の一生徒となった。
しかし、どうやら私はその日から「自分は神に愛されている」と錯覚し始めたらしい。連続した偶然が一度でも不遇に終わればそんな気にもならなかったのだろうが、生憎私は本当に運が良かった。
臆病だった私は自分の努力を神様のお陰と置き換えてしまい、私が望めば神様は応えてくれる、と考えるようになってしまった。
次の神頼みは高校一年生の頃だった。修学旅行の班決めの時だった。当時、私には気になるクラスメイトがいたのだが、彼と同じ班になる為には凡そ40ある籤の中から八分の一の確率で引き当てなければならなかった。彼の籤の番号を盗み見て、私は神様に祈り続けた。
そして、私の番になった。恐る恐る取った籤の先には見事、彼と同じ班の番号が書かれていた。私は神様に感謝を述べ続けた。
次の神頼みはすぐだった。「神様、どうか彼とお近付きに」と下心でしかない願いを訴えた。だというのに、神様はそれが当然とでも言うように私と彼との距離を縮めてくれた。
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