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「落書きしようぜ、顔に」
「キャハハ、いいね!楽しそう」
「誰かマッキーもってこいよ」
「私もってるよー!」
「何描くのー?」
「ベタだけど、やっぱこれだろ」
「うわはは、やべー!」
「目つき鋭すぎない?猫みたい~」
「ねねこだけに。ヒゲもつけようぜ」
……なんだか不穏な空気を感じないでもないけれど、あたしは全く気にならない。
だってこの至福のときを邪魔できる人は、世界に一人だっていない。
みんな、現実世界を「現実」と云うけれど、その根拠はどこにあるの?
だって、あたしが今いる「夢」の中の世界だって、紛れもなく「現実」……。
夢を「夢」と決めつけたのは、一体だぁれ?
現実を「現実」と断定したのは、一体だぁれ?
……あ、
蝶々が、飛んでいる…。
あたしは猫の本能で、寝っ転がったまんま腕を伸ばす。
ヒラリ、とあたしの猫パンチをかわす蝶々。
あたしはそれを追うように、腕を伸ばして振り続ける。
あともうちょっと、こっちに来て…
ほら、こっちに…
「捕まえた!」
私は声をあげて、
思い切り腕を振り下ろした。
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