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校庭の桜がようやく五分咲きになり、私たちも念願の中学三年生…
そして、今日はクラス発表の日だ。
私は2年生の時に仲の良かった子達と新クラスの紙が配られるのを、今か今かと待っている。
私、こと國末花織は、不安で心臓がドクドクと激しく上下していた。
2年生のクラスは、最高に楽しかったけど、今回は?友達…ちゃんとできるかな?
不安と焦りで、手汗まで出てきた。
「ちょっと、花織!配られたで!」
先生が列の最前列の人に配ると、一気にそこから歓声が上がった。
喜ぶ者、絶望する者、無表情な者。
私は誰と一緒になるんだろう。
先に配られた友達がいち早く私の名前を見つけた。
「花織ー!クラスが違うわ~~。
全員違う…えっ、ちょ待って、花織、あの立花海弥様とクラス一緒やん!」
突然そう叫ばれて、私は頭の中がハテナマークでいっぱいになった。立花海弥?
誰?
「えっ?
もしかして花織、知らないの?
あの有名な人を?」
私は、恥ずかしさにかられながらも、ぎこちなく首を縦に振った。
「えぇ!
ありえへん!
まぁ、花織は可愛いから付き合ったら教えてね~~また今度遊びにいこ。」
そう友達に言われると、私はその場に1人残された。大急ぎ行くと、立花海弥を中心に女子が群がっていた。
色気を使ってるのか、知らないけど、鬱陶しいと思うよ。
心の中でそっと呟くと私は席に着いた。
3年2組は、男女で36人。
男性は新人の先生だった。
女子たちが、なおも立花さんにくっついている。
あそこに入る勇気も何もない私は、ただ自分の席から遠目に見た。
イケメンと言われれば、そうかもしれない。
色白で、目が大きくて、笑った顔は太陽のよう。
そこそこ、タイプかも…そう思った時、急に立花さんがこっちを向いて、手を振ってきた。
はっ?
何?今、手振られた?
からかわれてる?
私は、無性に腹が立ってきた。
あいつ…何なんだ。
私だけ子供扱いされたみたいで。
さっきまでの、立花さんに対する好印象が一気に音を立てて崩れ落ちた。
中学校生活最後の1年間…私はこんなチャラい人と過ごして行くの?
私は、新学期早々とんでもないくじを引いてしまったようだ。
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