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立花海弥と言う男
あーあ。
あんな奴が同じクラスか…
朝から、花織はずっと立花という男を考えていた。正直言って、一瞬タイプだと思った。
でも、あの行動は?
チャラくて、モテる男は平気にするんだろうか。
一体どういう意味があったんだろう?
悩んでも悩んでも、答えは出ない。
「班長!全員揃ったよー。」
登校班のみんなの声で我に戻った。
「あっ、うん!
じゃ行こっか。」
慌てて気をとりなおして、5年間通ってきた道を進んだ。
急な坂道を登って、挨拶当番のおじいさんに挨拶をして。
いつも通りの毎日なのに、なぜか特別に感じた。
そして、またしても立花の顔が頭に思い浮かんだ。あー、もう。
何で思い出すの?
あんな奴、そこら辺の蟻かなんかでも思っておけば良い。
それなのに…心の中で2つの感情と私はぶつかり合った。
もう良いや。
ただのクラスメイトとして、軽く付き合おう。
そう心に決心した瞬間、またもや立花の顔が頭に映った。
何でー!
私何も妄想してない…
すると、向こうから「あっ、クラス一緒やろ。」
という特徴的な声がした。
この声…聞き覚えが。
もしかして、立花?
目だけ声のする方向に向けると、案の定、立花海弥がいた。
えっ?
家近かったっけ?
目が点になって、びっくりしている私に立花は笑った。
「お前、家ここら辺なん?よろしくな。」
はっ?
「あっ、うん。
よ、よろしく。」
少々テンパりながらも、まぁなんとかやってやった。
どうでもいい満足感に浸りながら、私は学校に向かって歩き続けた。
変な人。
突然手を振ったり、声かけてきたり。
やる事が全て突拍子も何もないから…
そんなことを悶々と考えていたら、学校に着いていた。
校門に入ると、同じクラスの子が1人立っていた。
私は思い切って「おはよう!」と言ってみた。
「あっ、おはよう。あの、突然だけど、友達になってくれる?」
この子も突拍子も何もない子だなぁ。
そうは思いながらも私は嬉しくなって、満面の笑みで
「うん!」
と返事した。
「ウチは、蘭!
花織ちゃんだよね?
花織って呼んでいい?」
「もちろん!
早くクラス行こ!蘭!」
私は、新しくできた友達の手を繋いで下駄箱へと向かった。
幸先の良いスタートだ。
それから、私と蘭は授業が始まるまでずっと喋った。
蘭は、かわいくて大人しい子。
良かった、こんな友人が出来て。
すると、会話の中で蘭が「立花」の名を出した。
もちろん私の全細胞が一斉に耳を傾ける。
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