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「ものすごくモテるやん?
立花って。
でもね、まだ一回も付き合ったことないんだって。相当硬派らしいなぁ。」
別に、私には関係ないし…
そんな事。
「立花」という名に反応したさっきの私はどこに行ったのかってぐらい、私はツンツンした。
「おーい!
國末??
何ぼけっとしてんだ?
お前のツンツンしてる顔見てると弄りたくなるなあ。」
にっこり笑って、私の頬をボールペンのノックのところで押してくる男。
「おおー、めっちゃぷにぷにしてる。」
「花織ー!
立花と仲よかったの?
教えて欲しかったー!」
腕を組んで、私を見下ろす蘭と、なおも私の頬で遊ぶ立花。
2人に挟まれて、私は固まった。
「蘭!
そんな事ないよ!
昨日会ったばっかりだもん、ねえ立花?」
そう立花に助け船を出し、それに乗るように視線で促したのに、立花は
「あ、いや。
俺は昔、お前に会ってたけどな。」
と予想外の答え方をした。
「えっ?
やっぱりそうだったの?」
蘭が興奮した様子で、私と立花に身を乗り出してきた。
私は、混乱した。
いや、会ったことなどない。
だって、こんな特徴的な顔の人…普通覚えてるもん。
そんな様子に見兼ねたのか、蘭はにっこりと笑って「ま、仲良くしてこーね。」
と言った。
良かった、蘭みたいな子で。
普通の女子なら私はとっくに半殺しの目に合っていただろう。
チャイムがなり、クラスメイトたちがだんだんと席へと戻っていった。
「じゃ俺も、そろそろ席に戻るわ。」
そう蘭と私に言うと、立花は自分の席の方へと歩いていく。
と思ったらまた私たちのところに戻ってきて、
「道間違えた。」
と言った。
この人、頭悪いのか…
それとも本当に忘れたのか。
どっちにしろ、記憶力は最低レベルだなぁと思っていると、立花が耳元で囁いた。
「俺は、忘れちゃいねえ。」
「何?」
と返す時間も声もなかった。
この人、何言ってるの?
そうは思っていながらも、私はだんだんと耳が赤くなっていくのを感じた。
「よし、じゃみんな授業始めるよ。」
担任の先生が、満面の笑みで教卓に上った。
今年の担任は新任だけど、まぁなんとなく良い人っぽい。
クラスの雰囲気も良いし、最初の授業頑張ろう!
と意気込んでいると、
「先生ー!
黒板見にくい。」
この声…立花だ。
タメ口…?
またもや、いや今度こそ立花の印象がガラリと変わった音がした。
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