立花海弥と言う男

3/3
前へ
/133ページ
次へ
立花の一声に、女子達が 「そうそう! 先生ー。 もっと見やすくしてください!」 とつられて口々に言い出した。 一方の先生は、 「ごめんごめん」 と言いながら書き換える始末。 立花って、どこかの王子か? まるで、王子と結婚して、地位が欲しいだけに群がる女と、その王子みたいな絵面になっている。 こういうの、本当に嫌だ。 授業妨害みたいな感じのやつ。 せっかく人が意気込んでいたのに、壊しやがって。立花が、椅子から首だけを少し曲げてこっちを見ていたけど、思いっきり無視した。 あーあ。 さっきのあの言葉に惑わされていた自分がバカみたいだ。 なんで、顔が赤くなってしまったのか。 どうせ、立花はモテるんだし、こんなおとなしい女に気なんてあるはずがない。 ただのペットと同じ。 良い言葉だけを並べて、相手を魅了させる。 それからは、立花の自由。 これが、立花海弥のやり方なんだ。 新しいクラス2日目にして、私は目に涙を浮かべてしまった。 どうしてあんな人に心を傾けてしまったんだろう。 どうして? 悔しくて涙がたまっているのか、悲しいのか、どちらも分からないけど、私は初めて自分の気持ちに気付いてしまった。 「あなたに手を振られた瞬間から、私は恋に落ちました。」
/133ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加