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けれど、その頃の私は自分のことを凡庸な『ベータ種』だと信じて疑わなかった。
疑わなかった理由。これも根拠なき理由。
両親がベータ種だから。
それと──もしも、私がアルファなら……『彼』を傷つけてしまうのではないかと──恐れていたから。
だから、私は頑なにベータだと言い張った。
私がアルファに見えるのは、あなた達が見えないところで努力しているから。
努力の結果がそう見せているだけ。
どちらとも言えない、不気味な雰囲気を纏いながら、そんなことを公言すれば、ヘイトは買う。
結果、私は浮いていた。
男からは生意気だと言われ、女からは媚びていると言われ──
──それでも構わなかった。
幼なじみの『彼』が私の近くに居てくれるのならば、それだけで良かった。
『彼』さえ居てくれるなら、どれだけヘイトを買おうと、嫌われようと構わなかった──
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