第一章 棟方アキラ

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それに…… 女性に対してのこの行為。 同じ女性として、怒りがないわけないじゃない――。 むしろ…… 私はこの映像をせせら笑いながら観賞してる同僚の男達に、怒りを感じている。 彼女は──オメガは、お前らの欲望の捌け口じゃない。 『捜査』という名目で、これを娯楽にしている同僚の男達――。 吐き気がする。 怒りで目眩がする。 悲鳴をあげるな。男達を悦ばすな――。オメガが……いつまでも、下衆な奴等の玩具に成り果てたままでは、ダメなんだよ……。 「先輩」 横に居る遥汰に話しかけられ、はっとなる。 「もう少しで終わるみたいだから、我慢して?」 遥汰のだだっ子を諭すような口調にむっとなりながら―― 「我慢って……なんのことよ?」 「イライラしてるでしょ? 手にしてるボールペンがさっきから忙しそうに動いてる。先輩がイライラしてる時の癖」 遥汰が苦笑しながら、私が玩んでいたボールペンを指差した。
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