631人が本棚に入れています
本棚に追加
癖を指摘され、気恥ずかしくなり、ボールペンをゆっくりとスーツの胸ポケットにしまう。
「先輩って……かわいいよね?」
「……は?」
唐突に言われ、遥汰を睨み付ける。
「鉄の女って言われてるわりに、そう言うところがかわいいなって……」
「バカ言ってないで、映像に集中して。貴方も情報分析官を目指してるなら……集中」
「はいはい」
遥汰が肩をすくめた。
遥汰は悪い男じゃない。
同僚の男達の中では、数少ないまともな部類に入る。
――ただ、この軽口というか……若さゆえなんだろうけど。
(苦手――)
映像が女性のアップを映し出す。
恍惚とした表情――
仮面の男が――恍惚とした女性の頬に触れ、そこで映像が途切れた。
最初のコメントを投稿しよう!