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「以上が今回出回った映像の全てです」
簡潔にそう言われ、同時に部屋の照明が強くなる。
数回、瞬き、目をならす。
「この後――被害女性は、港にある倉庫の一つで死体となって発見されました」
映像を映し出していた捜査員が淡々と説明する。
「被害女性は、帝都大学に通う生徒――年齢は十八歳の……オメガです」
『オメガ』のところを捜査員が少しだけ、強調した。
「……未成年のオメガ女性か。マスコミが煩く騒ぎそうだな」
「てか、またオメガの被害者か……」
私の斜め前に座っている捜査員二人が、小声で会話する。
「死因は薬物を媒介にしたショックだと。薬物により、強制的に発情を誘発させられ、その負荷がそのままショック状態を引き起こしたのではと……監察医はそう判断しています」
──抑制の逆。
「手元にあるファイルを参照してください」と言いながら、説明が続く。
「……遺体の損傷がかなり激しかったみたいだが、身元がよく特定できたな」
別の場所から、そう聞こえてきた。
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