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「帝都警察庁の監察医は優秀ですから。まぁ……死体でも『オメガ特有の質』が強く出ていたから、やり易かったと……監察医談ですが」
捜査員の説明に、何人かが笑った。
(何が可笑しい)
怒鳴り付けてやりたい感情を抑える為に、ファイルに目をやる。
同じようにファイルを見ている遥汰が、毒づいた。
「こういうグロい写真を見ながら、よく笑えるよな……」
ファイルに添付されている写真を見ながら、遥汰はため息を吐く。
身元が割れない為の工作。
顔の特長がわからないように、損壊され、無惨な姿を晒している女性の遺体――。
尊厳もなにもあったもんじゃない――。
「東野君」
ファイルから目を離さず、遥汰に向かって言う。
「感傷は判断を鈍らせるわよ。分析官を目指してるなら……」
「はいはい、余計な情は厳禁、ですよね?」
「わかってるなら……」
「てか、イライラしながら映像見てた先輩にそれを言われても……」
苦笑する遥汰を一瞥し、
「ごもっとも」
皮肉げにそう返す。
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