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幼い子供の頃から『彼』の気配は察知できていた。
彼がどこにいるのか、気配を辿ることができた。
それを疑問に思うことなく、ただ幼なじみだからという、根拠のない理由で納得していた。
いや、もしかしたら、納得しようとしていたのかもしれない。
何ら特殊なことではないと、根拠のない理由をつけて、自分なりに納得させたかっただけ。
で、なければ己の環境に潰されてしまいそうだったから──。
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その頃──。
有名進学高校に通っていた私のあだ名は『アルファ擬き』だった。
正しく言えば、あだ名ではなく陰口。
『ベータのはずなのに、アルファのような』『アルファに取り入るベータ』『中途半端な女のくせに』
一般人であるベータ種であるはずなのに、稀少な優性種のアルファのような雰囲気。
どちらにも属せない、どちらとも言えない雰囲気。
アルファにとっても、ベータにとっても、それはさぞかし気味の悪い存在だったと思う。
今なら、よくわかる。
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