プロローグ 堕天の誘惑

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小さくため息を吐き── 「ちょっと待って」 通りすぎようとしている男達の背中に声をかける。 「言い忘れてたことがあったから」 満面の笑みを浮かべながら── 「努力」 と、一言、言ってやる。 男達の表情が『何を言ってるんだ?』というような、こちらをバカにしたような視線を送られる。 「アルファ擬きの女の私がね、アルファの──それも男達しか居ない生徒会に所属できた理由。私が努力したから」 男達の怪訝な顔が、嫌悪感に変わっていく。 「あんた達が必死こいて、サボりを入れようとしてる時間。こっちは必死こいて、努力してたの。だから、それが認められただけ。わかる? あんた達の努力不足をこっちに八つ当たりされても困るのよね」 「てめぇ!!」 舌打ちをした男が私に飛びかかろうとして、それを残りの二人が止めに入った。
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