第二章 寺鷹貴志

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「大丈夫。彼女にはちゃんと説明するから。そんな謝らないで」 苦笑しながら「じゃあ、また……」と言いながら、貴志さんは電話を切った。 「あの……何かあったんですか? 今の電話、秘書の久瀬さんから……ですよね?」 「ご名答。なんだかね、得意先から会社に連絡があったらしくて……。警備システムに不備が出たとか……。相手が僕に来て欲しいらしく、引かなくて……」 私が聞くと、貴志さんが困ったように笑いながら説明した。 貴志さんはセキュリティ会社の運営をしている社長。 その貴志さんに来て貰いたいというのだから、結構大掛かりなことなのでは…… 「担当の志田君、しっかりしてるんだけどなぁ。何が気に入らないんだか……」 「直ぐに行ってください」 冗談まじりに、愚痴を言う貴志さんに、促した。 「……え?」 貴志さんが困惑するような表情を浮かべる。 「社長の貴方に来て貰いたいってことは、重大な不備が見つかったってことかもしれないから……。すぐに行って、対処した方が良いことだと……」 「いや、ですが……」
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