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男──銀狼が、瑠璃子からグラスを取り上げながら──
「振られた腹いせに俺を呼んで、やけ酒飲みながら、俺に絡むんなら……俺は帰るぞ。酔っぱらい女に付き合ってられるか」
「ふん……」
瑠璃子が、取り上げられたグラスを銀狼から奪い返し、再びグラスを煽る。
そんな瑠璃子を見ながら、うんざりといった風に銀狼が顔を歪めた。
「……言いたかないんだけどさ。瑠璃ちゃんのそういうところが、寺鷹のやつを遠ざけてんじゃないの? あいつ、鈍そうに見えて割りと鋭いとこあるから」
「なによ? お説教のつもり?」
「そんなんじゃ……いや、そうか。説教だな。これは。まぁ、君とは高校の時からの付き合いだし。これでも心配してんだよ」
「てかさ……」──と、銀狼が瑠璃子の顔を覗きこみ。
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