第25話 運命の2人

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第25話 運命の2人

情念と情念がぶつかり合うセミファイナルを終え観客達は今宵のメインイベントに期待を膨らませていく。 龍造寺エリカと村雨シン このトーナメントが始まる前から何やら きな臭い雰囲気に包まれる2人。 それでなくても本当に同じ釜の飯を喰らい 同じ相手に苦渋を味わわされて来た。 このトーナメントはこれまでの因縁を全て精算出来るまたとない機会。 何も起きないはずはない。かんの鋭いプロレスファンは緊張にも似た興奮に酔いしれている。 しかし 入場して来た2人は至って冷静。選手コールもボディチェックもお行儀が良すぎるぐらいだ。 エリカ「......面白くありませんわね...」 品行方正なエリカは通常運転だが対角にいるシンからいつもの覇気を感じない。 エリカ「本当にあの方はキリコさんが大好きですわね...」 考えてみればシンとのシングルマッチはこれが初めて。 合宿所時代のスパーリングでは勝った記憶も無い。ユニット脱退前の一悶着でも圧倒された。 舐められている。 まだ始まっていないがシンの態度はエリカのハートに深刻なダメージを与えた。 レフリー「レディッ!!ファイッ!!」 カーーーン!!!! シン「シャッ...!?」 エリカ「はぁぁぁぁ!!!!!!」 ドガッ!!!!! シンが試合開始のゴングの瞬間気合いを入れ直す僅かな隙をエリカは掴んだ!! シンの胸元に深々と突き刺さるエリカのジョン・ウー! 実況「龍造寺が仕掛けたぁ!!!」 エリカ「あんまり...」 ズガンッ!! もんどり打ったシンをかち上げるエルボーパッド! エリカ「わたくしを...」 バズンッ!!! エリカは流れる様に旋回!遠心力を纏わせたミドル テールを相手の腹にぶちかます! シン「このっ...」 更なる打撃を受け流しシンが反撃!オープンフィンガーグローブを装着した拳を数発打ち込みエリカを怯ませロープに投げる! 反発!そして加速!待ち受けるは村雨シンの拳! ブォン!! シンの視界からエリカの巨体が掻き消える! 大きな体を自在に操り拳を回避!そのまま目の前のロープまで走り更なる加速! エリカ「舐めないでください!!!」 ガッ!!!ヴォンッ!!!!! シン「ぬぉっ!!!!」 獅子の首に龍が組み付く!身長2m体重100キロが首にのしかかるだけで常人なら潰れてしまう。 そんな肉塊が振り子の要領で遠心力を付けて後ろに旋回! そこに生まれる力に流石のシンも為す術もなく投げられる! 実況「身長2mのティヘラァ!?凄まじい運動能力!村雨 堪らず場外へ!...あーっと龍造寺がコールを要求!まさかぁ!?」 エリカ「はい!はい!!はい!!!」 観客の歓声が龍に翼を授ける。 ロープに身を預けエリカはリングを駆ける! 瞳には宿敵村雨シン 心には覚悟の2文字! エリカ「はぁぁぁぁ!!!!!!」 バッ!!! シン「マジかよ...」 ドォガッ!!!!!!!!! エリカ「シャァァァ!!!」 実況「トペコン・ヒーロ!!!!!!巨龍天を舞う!!その全てが村雨を直撃!!!しかも龍造寺見事に着地ぃ!?ありえない!ありえないぞ龍造寺エリカ!!」 レオポン「すげぇー!!!しかもロープを飛び越える瞬間そのロープを掴んで空中でもう一度加速してるニャン!多分やろうと思えばノータッチで行けただろうに一撃の重さを出す為にやったに違いない!凄すぎるニャン!」 シン「かはっ...」 エリカ「これで少しは目が覚めましたか?ジコチューのシンさん?」 シン「てめぇ~...」 エリカ「このっ!」 ズドッ!! 倒れるシンに非情のストンピング! エリカ「キリコさんに対して気負うのはわたくしを倒してからでも遅くは有りませんことよ!」 エリカ「本気で来なさい!村雨シン!!相手はこの龍造寺エリカ!買った方が決勝でキリコさんと闘いベルトを手にする!シンプルでいいじゃないですか!」 エリカ「ぼやぼやしてると泣き虫お嬢様のわたくしに蹴散らされて大恥かきますわよ!村雨シン!!」 シン「へへへ...言ってくれんじゃねぇかエリカァ...」 ここでようやくシンの瞳には火が(とも)る。 エリカとシン 初めてのシングルマッチ。 近い将来必ずドル箱カードとなる戦いは熱く 泥臭く始まった!! ↓ティヘラ 6055dc80-765c-42a0-8d73-58ef95f2c23d ↓トペコン・ヒーロ c017956d-bbd7-4c2d-971b-89d994668d6e
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