第9話 雷轟電転

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時を少し戻そう。 BBWルーレットと言う空前絶後の荒業をまともに喰らいながらも立ち上がり あまつさえ圧倒的不利な相手 巨竜豊竜山に挑まんとするレイ。 「シャッ!!」 「稲荷場仕掛けた!!」 パシンッ!!パシンッ! レガースが肉を抉りとる高い音!しかし豊竜山は少しも怯まない。 「効かないんだよぉ~」 ブオンッ!! 「!!」 一振で風を操り地上の全てを吹き飛ばす芭蕉扇の如き袈裟斬りチョップ!! ドムッ!! 「くっ!!」 受けた腕がへし折れた そんな錯覚に陥る。そんなチョップだった。 キリコの様に鋭く響くのでは無い ただひたすら力強い 清々しいまでの暴力性。 ガムッ!! 「ちっ!」「捕まえたぁ!!」 ブンッ!! レイの必死の抵抗虚しくいとも容易くロープに振られる! 「く~ら~え~!!」 豊竜山がぎゅっと脇を閉めその巨体を凝縮し待ち構える。 狙うはクロスカウンター掌底 彼女の場合は突っ張りと言った方が良い。 顎が砕けた 意識がすっ飛んだ 死を感じた これを喰らった数々の力士 レスラーは口々に恐怖を語る。 レイよりも遥かに頑丈な奴らが吹き飛ぶ そんな代物がベストのタイミングで打ち込まれる。 バグンッ!! 「ガハッ!!」 「掌底~!!決まってしまったか~!?」 「上手いニャン...」 「レオポンさん!上手いとは...っと稲荷場事も無げに立ち上がったぞ!!」 『流石レイ どんな反射神経してるニャン...』 衆目にはまともに被弾した様に見える。しかしレイは突っ張りが体に接触する刹那 レイステップで後方に飛んでいる。 その僅かなジャンプが殺人的突っ張りを強烈な掌底レベルにまで威力を減退させたのだ。 技を避ける事が許されないプロレスと言う競技 しかし馬鹿正直に受け止められない奴もいる。 ならどうするか?その答えがこれである。 不敵に笑うレイ。 「ふっ...私は相撲取りじゃない なんでもありのプロレスラーだぜ そんな大振りなんとでもできるんだよ!」 「なにおぅ!!」 積み重ねてきた努力を鼻で笑われ頭に血が上る豊竜山。 「今度はこっちから行くぞ!!」 言い終わらない内にロープに飛びその力を借りレイはリングに走る閃光となる。 確かに速い。しかし豊竜山は惑わない。
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