第9話 雷轟電転

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「速いけど...見える!」 スタート合図も無い立ち会いに生きてきた豊竜山にとって感覚を研ぎ澄ますには十分過ぎる時間。 どっしり構え突っ張りの弾丸を再装填。トリガーを引くその時を静かに待つ。 時間にすれば数秒の事であった。しかし集中した豊竜山にとっては数分にも感じる刹那。 ピリッ! 脳味噌に走るインパルス。それを感じた時にはもう右の大砲は放たれていた。 「!!」 しかし手応えは無い。それどころか目の前にいたはずのレイが消えた! 「どこに!?」 そう脳裏に浮かんだ瞬間背後に気配! 「すりぬけたのか?!」 豊竜山がそう錯覚してもおかしくない。レイは突っ張りが被弾する刹那 それを読み切りスライディング。豊竜山の股下を抜け向かいのロープで再加速していたのだ。 「このっ!!」 ブオンッ!! 今更突っ張りは出来ない。ならば振り向きざまリングの半分は攻撃出来そうなリーチを振り回し薙ぎ払う! 「そんなもんが当たるか!」 キュッキュ! 今度は華麗な足さばきで最小限減速でターン!バスケでディフェンダーを躱すが如く剛腕を避ける。 そればかりかそのまま軌道を返え別のロープへ そこでまたも加速! 通常ロープワークとは向かい合ったロープの間で行うがレイは独自の足さばきで急速な方向転換が可能だ。 それ故に相手は変幻自在の動きに惑わされる。 「ここっ!!」 完全に豊竜山を手玉にとったレイが放つ一撃! バキッ!! 「ぐあっ!!」 「稲荷場の高速の低空ドロップキックー!!豊竜山の膝を貫くっ!!」 「まだまだっ!!」 レイの加速は止まらない。怯む豊竜山を置き去りにしまた加速! 褐色の閃光はリングを駆け回り豊竜山の剛腕は虚しく空を切る。 ドンッ!バキッ!!ズガッ! そして執拗な右膝への低空ドロップキック 時に裏から 時に横から。 タダでさえその体重を支える為に相当の負担がかかる膝は容赦のない忍狐の苦無を打ち込まれ続けては堪らない。 「くぅぅぅ」 遂に豊竜山の牙城の一角が崩れ膝をつく。それでもまだまだでかい豊竜山。 「ここだぁ!」 バン! 今度は苦無では無く忍刀が抜かれた。 下がった胸元に強烈な蹴り!しかし分厚い筋肉と脂肪に受け止められる。 「ハッ!!」「出た!」 思わずキリコも声を上げる! 蹴りが受け止められた しかしレイは止まらないのだ。 残された足で再度飛翔!そのまま相手の延髄を切り裂く! ↓延髄斬りimage=511123327.jpg
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