第15話 悪魔の生まれた日

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それからスペ女の勢力図は激変した。 これまでマーダーが広げた縄張りに彼女に賛同しUGDを裏切った連中の縄張りも纏めて離脱 それがそっくり仮面武闘會 人組となる。 これまでスペ女最大勢力となっていたUGDは優勢が一変 かつてない危機に陥る事になる。 しかしそれをキャミィは指を咥えて見ている訳にはいかない。 新リーダーとしての責任と 先代 そして自分に赤っ恥をかかせた裏切り者の首を取らねば自らの沽券に関わる。 これによりUGDと仮面武闘會の抗争は激化の一途を辿る。 それに対しマーダーは新参者としての実績を問われ これに答える形で全勢力に喧嘩を仕掛け 結果を残す。 それに焦る他會 幹部達 その焦りは手柄争いを産み 鉄の絆が売りの武闘會に亀裂が走る。 その全ての原因はマーダー・ピエロである。 しかしこの狂ったピエロは頭も冴えている。ここまで全て彼女の描いたシナリオ通りに事は進んでいる。 ユニットの為と言う建前で自らは力を伸ばし 敵味方の勢力を削りその時を待つ。 そして今現在彼女の人組は仮面武闘會の中でも飛び抜けた勢力に成長。 後は全てを飲み込む為の最後の鍵 リーダーの言葉に絶対の力を授けるベルトの存在。 それを手に入れるためにあらゆる手練手管を駆使し 歴史を揺るがす暴挙を敢行! そして締めは 未だ頭に卵の殻をくっつけたルーキーを捻り潰すのみ。 長年の野望の成就を目の前にし興奮でいてもたってもいられない。 しかしここは我慢だ。かつての自分がそうしたかのように 最高の興奮はギリギリまで我慢して 最高のシチュエーションが整った時訪れる物だ。 全宇宙の棚端ファンが絶望の悲鳴を上げ 勇敢にも立ち上がった勇者で敗者である赤嶺キリコに罵詈雑言を浴びせかけるリング上で雑魚を踏みにじり高らかにベルトを掲げる。 後はベルトを片手にタイトルマッチや解散マッチを仕掛け他の會も軍団も飲み込み 宇宙最大のプロレス団体を完全制覇する。 「うひゃひゃひゃ!堪んねぇなぁ...キリコちゃん お前は大事な大事な最後のピースだ。俺様をちゃんとイかせてくれるぐらい足掻いて苦しんで 挑んで来い!獲物がもがき苦しんでそれを弄んで最後にポキッと心をへし折って勝つ。そんなプロレスがしてぇんだよ...」 「早くやりてぇなぁ!キリコォ!!!ひゃ~~っはっはっはっ!!」 戦いの代償に強い酒を煽り壊れた玩具のように悪魔は笑う。
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