第1話 プロレスの魔力

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「いい席だね!!奮発してロイヤルシートとって良かったぁ!」 「ふ~ん・・・そだね・・・」 母親の興奮とは反比例するかのようにショータは冷めきった目で端末をいじくっている。 この日高橋親子の席はなんと最前列。おまけにショータは角の席で選手が入場して来る花道の最側近 レスラーの背中が最も近い席だった。 「早く始まらないかな?楽しみだねショータ!?」 「うん・・・早く始まって早く終わってほしい・・・」 ボン! 不貞腐れたショータの視界が暗転し耳をつんざく大音響に襲われる。 楽曲は団体創設からスペ女で使われ続けている団体テーマ! その調べに乗り観客一人一人が拍手がこれから繰り広げられる至高のエンターテインメントを歓迎する。 曲の終わりと同時に体育館の全照明が光を放ち、いつの間にか現れたリングアナを照らす。 「本日はSWP宇宙ステーション7236大会に御来場下さり誠にありがとうございます!!」 リングアナは挨拶もそこそこに試合カードの紹介を進める。 カードが1つコールされる度に拍手と歓声が起きる! スペ女一軍のレスラーと言えば他団体に行けば不動のエースにもなり得るレスラーがひしめき合う。 ローランカーの地方巡業と言えども凄まじいメンバーが軒を連ねる。 「それでは第一試合!まずはデモンマスク選手入場!!!」 コールと同時にモニターには力強いタッチで「仮面武闘會」の文字! おどろおどろしい入場テーマに乗り悪魔を模したマスクと一切肌の露出のない不気味なコスの巨体のレスラーが観客を威嚇しながら花道をのし歩いてきた。 デモンマスク 彼女は2m近い巨体と何をしでかすかわからない凶暴性でマスクマンのみが入れる5大ユニットの1つ仮面武闘會 牙組 虫組 翼組に続き新設された人組の一員として暴れ回るヒールレスラーだ。 ブーイングと歓声の入り交じったコールを腹を立てたのか客席前の鉄柵に蹴り飛ばし大迫力で客に迫る。 勿論ショータの前にも現れる。しかしショータはピクリともリアクションがない。 「こいつも必死に悪者を演じて疲れないのかね・・・悪者はやられるのが役目で結局最後には負けちゃうんだ。」 冷めたショータに尚更機嫌が悪くなったデモンマスクはようやくリングに上がり臨戦態勢をとる。 「続きまして赤嶺キリコ選手の入場です!!」 「赤嶺キリコ?」 ↓角席image=510277087.jpg
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