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「レフリー!フォール!!」
完全にグロッキーのレイをひっくり返しのしかかるキリコ!
「ワン!」
流石に鬼神化したキリコのアックスボンバーをまともに喰らってカウントワンで返せる生物などこの地球には存在しない。
「ツー!!」
レフリーの2つ目のカウントにレイファンからは悲鳴が上がる。
あの強くて気高く華やかなレイの敗北など見たくはない。しかもこれが復帰戦だ。誰しもが待ち望んでいた復活劇がこんな幕切れでいいはずがない。
「立ってくれレイー!!」「負けるなレイー!!」
そんな絶望的な歓声はキリコに勝利を確信させる。
「勝った!!」
「スリ...!!!」
「返した......返した!?!?稲荷場 奇跡の生還!?!?ファンの歓声が聴こえたのかはたまたレスラーとしての本能か!?鬼神化した赤嶺の殺人的アックスボンバーを真正面から受けきったぁー!!!!」
「ウソウソ!!有り得ない!?」
キリコは頭を抱える。
いつもは自分が同じ様な事をするくせにいざやられてみると凄まじい絶望感。
手応えは十二分。しかも鬼神化状態。相手はJrヘビー級並の体格。そんな圧倒的有利な状況をひっくり返された。
動揺と同時にキリコはレイにこの上ない尊敬を抱いた。
「この人やっぱり凄い。技術 華 あたしに無いものを沢山持ってるエリートなのに オマケにハートがめちゃくちゃ強い。エリカちゃんともシンさんとも違う強さを感じる。こんな人がいるんだ...」
激しく動揺するキリコをよそにレイは必死にに呼吸をし自分と対話する。
「返せた...まだ負けてない...負けてたまるか...こんな奴に...こんな恵まれた種族になんて...負ける訳にはいかないんだ!!!!」
「それにこれぐらいの痛み...あの日々に比べてら...痛くも痒くもない...負けるか...あの日誓ったじゃないか...決して力には屈しない!種族の限界をぶち破ると!!!」
ダメージに混沌とするレイの脳裏に蘇る忌まわしき日々。思い出したくもない。決して戻りたくない地獄。されどその過去が今の自分に力を授けている。
そんな皮肉に思わず笑が零れる。
第2話 閃光 ~完~
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