第20話 血に流れる力

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第20話 血に流れる力

「がぁぁぁ!!!くっそぉぉぉぉ!!」 リングとは非情なる戦場 そこに至るまでの努力も その血に流れる才能も 生まれ持った四肢も関係無く力のある者が勝つ 狒々村アズサはその現実をようやく理解出来た。 「あっ...圧倒的ぃ!!!これが...これが龍造寺エリカ これが天才...これが時代の寵児なのかぁ!!」 実況の言葉に誰もが納得 エリカとアズサがエルボーの撃ち合い ここが2人の明暗を分けた。 アズサ「うぉぉぉ!」 フィジカルで劣る事を自覚するアズサは手数と精度で勝負と切れ味鋭いエルボーでエリカの顎を打突! エリカ「くっ...」 アズサ「エリカちゃんが止まった...いける!!」 天才狒々村アズサだからこそ攻め込みたくなる隙 そこに迷いなく突き進むアズサ アンズ「愚か者...」 プロレスの権化 祖母 狒々村アンズはこれから孫が受ける惨劇に舌打ちする アズサ「はぁぁぁぁ!!!」 ゴンッ!! アズサ「!?」 渾身の一撃!しかし!目の前には仁王立ちのエリカ アズサ「耐えられた!?」エリカ「今度は...こっちの...番ですわ...」 アズサを突き飛ばし生まれた距離 それを龍は瞬く間に埋める! アズサ「消えっ...」 ただ接近したのでは無い! その巨体がまるで蜃気楼の様にアズサの視界から消える エリカは高速のダッキングでアズサの下に潜り込む レスラーとして小柄なアズサの更に下 打撃を交換し 全身隈無く疲労とダメージを受けた体をここまで早く 正確に操るスタミナと集中力! 1度沈んだ龍は再び天を行く エリカ「ハッ!!!」 ゴチンッ!! 昇龍の放ったアッパー掌底は鍛えたレスラーの体を衝撃で浮かせる! 実況「まるで格闘ゲームの世界だ!!龍造寺の掌底が狒々村を貫くぅ!」 勿論 エリカはテレビゲームを嗜む訳では無いし この技も以前から使っていた技でもない。 ただ咄嗟に その身に宿るプロレスの女神からの贈り物に従い放った一撃 アズサが膝から崩れる。これが通常の格闘技なら試合は終わり しかしプロレスはここからレスラーの真価が問われる。 力の抜けたアズサの紅髪を掴んでコーナーに送る! ほぼ気絶しているアズサ しかし彼女も惚れっぽいリングの女神に愛されたレスラー 生まれた時からプロレスに染まった体は無意識に美しいフォームでコーナーに体を預ける。 無防備に晒した覚悟の構え そこに巨大な靴底2つがめり込む!
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