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第21話 刹那の果し合い!
カーーーン!
二頭の獣を四角いジャングルに解き放つゴングが鳴り響く。
触っただけで切り刻まれる殺気を放つシン。
触っただけで高圧電流にぶち抜かれてしまう闘気漲るレイ。
そんな2人が静かに 音もなく自陣コーナーを離れ右回りで間合いを探り合う。
レイ「これが村雨シンか...」
この前のバトルロワイヤルとは違い 100%の状態のシンと対峙したレイは改めて相棒の宿敵の強さを知った。
構えの隙の無さ それでいて隅々までリラックスが利いていて如何なる状況にも即座に対応して来る構え。
そんな美しい鞘の中にはギラギラと触れる物全て切り伏せる刃を潜ませる。
その刃紋の輝きは目から零れる。
まさに捕食者の目。瞬きは少なく こちらのいかなる隙も見逃さない。
平凡なレスラーならこの時点で呑まれてしまうだろう。
しかしレイは並のレスラーでは無い。
相手が強ければ強いほど天才の血が騒ぐ。
それをわからぬほどシンは野暮では無い。
示し合わせたように2人は不敵に笑いジリジリと距離を詰める。
レイ「シャッ!!」
シン「はっ!!!」
実況「ロックアップ!天才が選んだのはオーソドックスな立ち上がり!ファーストコンタクトを制するのはどっちだ!?」
レイ シン「「ぬぅっ!?」」
リング中央でガッチリ組み合った2人!
組んだ手から斬撃と雷撃のイメージが互いの脳に刻まれる。
シン「おらぁ...」
グンッ!!
ここでシンが1歩先んじる。
レイ「力強っ...」
手足が長く 端正な顔立ちでモデル顔負けのシンだが彼女は怪力である。
サイズ的にはJrヘビー級のレイには分が悪い。
ズンズンロープに押される。しかしロープの反動を利用し体を反転!シンをロープに預ける形に追い詰める。
シン「おい ブレイクしろよ...」
シンが両手を上げてクリーンブレイクを要求。
「稲荷場 ブレイクだ!」
レフリーにも促されゆっくりとレイが離れる。
実況「綺麗に分かれるか?」
緊張の一瞬。
チュッ!
ここでもまたフォックスキッス!指先で固く縛られたシンの唇に優しくタッチ!
レイ「もったいぶってんじゃねぇ~よ 村雨ちゃん」
シンのプライドを逆撫でするような仕草で激闘へと誘うレイ。
シン「てめぇ~...」
この2人にゆったりとした始まりは相応しくない 。
油の染みた導火線に自ら火をつけるレイ。
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