第3話 乗り越えた女達
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第3話 乗り越えた女達

「やーい!怪物!!」「あっち行けデカ女!!」「なんて醜いのかしら…」「よかったぁ うちあんな体なら自殺しちゃうよ」「親御さんが不憫ねぇあんな子が家にいたんじゃ恥ずかしいわ...」 クスクス... クスクス 「やめて...やめてよ…」 数年前 のどかな惑星で1人の少女に投げ掛けられる嘲りの声と蔑む笑い。そして無邪気な子供の投げる無慈悲な石礫。 ここは惑星マクラウド ここで稲荷場レイは生を受けてそしてその命を自ら呪っていた。 彼女の幼少期 それはまさに地獄と言っていい。 その原因は見てくれだ。 彼女は大きかった。桁外れに。同い年の男子相手にすら頭一つ飛び抜けて大きかった。 ここが地球なら将来アスリートととして期待されたり 八頭身モデルの卵として羨望の目を向けられていたかもしれない。 しかし惑星が変われば美の価値観も違う。 ここ惑星マクラウドでの美人は小柄であればある程美しく その目はくりくりとつぶらな瞳である程人の心を虜にする。 その基準で行けば異常とも言える巨体 切れ長の目を持つ稲荷場レイは史上稀に見る醜女だった。 そしてこの惑星に古くから伝わる習わしが彼女を追い詰めていく。 この惑星の女性は結婚が早く その式は両家の繁栄を願い盛大に執り行われる。 その豪華さは惑星マクラウドの嫁入りとして惑星外からも見物客が押しかけるほどだ。 そして女の子がいる家は細やかでも嫁入りをしなければ末代まで不吉な影に包まれると言い伝わっている。 馬鹿馬鹿しい慣習であるが 歴史を重んじるマクラウド星人にとっては深刻な問題である。 レイは名家4姉妹の3番目。ついこの前妹の嫁入りの式が煌びやかに執り行われたばかりだった。 「どうしてあの子だけあんな身体なんだ...」「あれでは嫁ぎ先などないぞ」「このままでは名門 稲荷場家に災いが...」 遠慮ない親戚達の言葉にレイの幼く弱い心はズタズタに引き裂かれる。 何よりも辛かったのはその先頭に自分の親が立っている事だ。両親は自分の子供の将来よりもこれまで先祖が守ってきた家柄の心配ばかり。 街に出れば数奇の目 学校に行けばいじめの嵐 家に帰れば親族のベタつく嫌味と実親の絶望に満ちた顔。 そんな物に耐え切れず幼きレイは部屋に閉じこもる。 毎日涙が止まらない。決まって同じ台詞が頭を支配する。 「好きでこんな身体に生まれた訳じゃない...」
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