第24話 狂犬の牙

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第24話 狂犬の牙

「只今より!本日のセミファイナル!SWPシンデレラ無差別級チャンピオン決定戦準決勝第1試合を行います!!」 ドドドドドォ!!! リングアナの宣言に後楽園が物理的に揺れる。 本日のトーナメント セミは愛憎入り乱れるキリコVSアミ メインは遂に切られたゴールデンカード エリカVSシン。 ヤングパッションの究極のドル箱カード。そして断言出来るのはこれがスペ女本戦で未来のメインになり得るメンツが揃っているという事。 詰めかけた観客達は知っている。まちがいなく今日伝説が産声を上げることを。 プロレスのチケットは安くない。しかも見ようと思えばネット配信など見る手立ては幾らでもある。 なのに何故プロレスファンは会場に足を運ぶのか? それは観客もプロレスを作り上げる重要なファクターだからである。 推し選手のグッズに身を包み指定された席に座り試合開始のゴングを心待ちにしながら会場とひとつになって行く感覚。 あれだけはどんなに時代が進んでも変わることは無い。 そんなプロレスの夢に酔う観客の中で一際期待感を膨らませている漆黒の応援団。 そこかしこで「小角軍」の文字が刻まれた軍旗が(はた)めき 我らが軍のメンバーを待っている。 顔ぶれを見ると女子が圧倒的。彼女達のお目当ては石狩アミだ。 対してその応援団の対角線に陣取るのは見るからにベテランファンといった出で立ちの中年ファン達。 普段ヤングパッションでは物足りないと(のたま)う目の肥えたファンを唸らせるのは赤嶺キリコ。 片や真っ向勝負が信条 片やここ数年まともなシングルマッチなどしていない 柳腰の曲者。 普段見られない貴重なカード。期待しない方がおかしいレベルだ。 「まずは赤嶺キリコ選手の入場です!」
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