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困惑の病院
鈴音には留守番を頼むつもりだったが、春一と一緒のタクシーに乗り込んできた。
一緒に来るなら来るで、効率を考えるなら、当初の予定通り秋哉の所に向かってもらうのが一番いい。
だが、こんな事態になった今、鈴音と別行動をとるのは非常に不安だった。
もしも鈴音の身にまで何か起きたら、今度こそ春一は冷静ではいられない。
鈴音だけは、春一の目の届くところにいて欲しい。
だから春一は、着いてきた鈴音を止めることなく、
「中央第二病院までお願いします」
タクシーに行き先を告げる。
「病院? 冬依くんのところですか」
鈴音が驚いたように聞いてくるので、
「ああ。夏樹のことも心配だが、あいつはアレで大人だから。まずは冬依のところへ行って、病院の先生の話を聞こうと思う」
鈴音には言わないが、電話が途中で切れたまま繋がらないのが気にかかる。
春一は鈴音を伴って中央第二病院に向かった。
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