伴侶になろうか

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おれ達の前では気丈に振舞っていた両親が夜中泣いていた事を知っている。 おれも含めて、がむしゃらに働いた。 学校をやめて働きたいと父に相談したら「登録をして終わりじゃないんだ。」と止められた。 学校へ行ってバイトをして。母もいくつもパートをかけ持ちしていたのでまだ10歳の妹も家の事を手伝った。 暫くすると猫の様な耳と尻尾が妹からはえてきた。 茶色い耳と尻尾は素直に可愛いと思えたが、それを気にしていた妹にそんな事は言えなかった。 症状が安定したら、切除手術も場合によっては可能らしい。 それにだって金がかかる。 とにかく、その時のおれは必死だった。 ようやく妹の登録の目途が付いてホッとした。 だから、熱が出ても疲れているのだろうと思った。 中々下がらない熱に嫌な予感がする。 病院で告げられた病名は妹と同じものだった。 おれは、とにかく父さんと母さんの事が心配だった。 妹が発症した時の父さんと母さんが頭の中にフラッシュバックした。 大丈夫だよ。と両親と妹に言った。 妹だけでもう家はギリギリだった。 おれの為に動く様な余力は無い。 収容所か、と思って最初に浮かんだのが木藤の事だった。 無性に会いたくなった。 泣いて縋って、嫌だと子供の様に駄々をこねてしまいたい。     
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