伴侶になろうか

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「行かせませんって軽く言っている様だが、現実はそんなに甘くは無いんだぞ。」 あくまでも木藤は冷静な様だった。 「登録料を僕に払わせてください。」 再度、木藤は頭を下げた。 「それは、君のご両親を巻き込むという事か?」 訝しげに父が聞く。 「僕は以前から小説家をしています。その印税で誠一さんの登録料を払わせてください。 両親に許可も貰っています。」 土下座のまま木藤は言い募った。 「それは、誠一の人生を買いたいということか?」 父が何を言いたいのかが分からなかった。 「ちょっ、父さん!?」 おれが口を開くと、木藤は俺の袖をそっと握った。 「大丈夫だよ。お父さんは堤の事を心配しているだけだから。」 木藤は笑った。 「先ほどは息子さんを下さいと言いましたが、僕は誠一さんの人生に少しだけ関わらせてもらいたいと願っているだけです。 誠一さんが幸せに過ごしてくれるのであれば、それこそなんだって良いと思っているし、僕はその協力なら何でもしたいと思っています。」 木藤がそんな風に考えているなんて知らなかった。 「誠一さんを愛しています。どうか、誠一さんと共に生きる事を認めてください。」 正直、嬉しくて泣きそうだった。 すると父さんが 「誠一、お前はどうなんだ?」 と聞いた。     
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