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ては汗をかいていた様でべたべたで、小刻みに震えていた。
「恰好悪いだろ?」
おれは大きく首を左右に振って「そんな事無い」と返した。
木藤はふわりと笑って、おれの頭を、そこからはえる猫の様な耳を撫でた。
その笑みは今までに見た事の無い笑みでとにかく恰好良いなと思った。
撫でられる手がとても気持ち良くてつい手に頭をこすりつけてしまった。
その事実に気が付いて慌てて一歩後ずさる。
「ご、ごめん。」
「恋人に甘えられるのは彼氏の特権だろ?」
木藤が微笑んでくれたから、それだけでおれは幸せな気持ちになれた。
「じゃあ、また明日。」
「うん、また明日。」
昨日まではもう無いと思っていた、次の約束をしておれと木藤はそれぞれの家へ帰った。
了
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