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あれから、リビングで2回、ドロドロになった体を洗おうと風呂場で1回、恐らく昼ごろから一人発情期と戦っていた誠一はそこで体力の限界を迎えた様で、まるで気を失うかのように眠りについた。
俺も一日仕事で出ていた疲れもあってか、誠一をベッドに寝かせるとそのまま一緒に寝てしまった。
ごそごそと横で動く気配がして目を覚ます。
「おはよう。」
俺が声を掛けると誠一は真っ赤になって「おはよう。」と返した後言った。
「き、昨日はゴメン。」
ネコ耳をシュンと垂れ下げながら謝られても正直あまり嬉しくは無い。
「……俺は、誠一に頼られたいの、頼られると嬉しいの。分かるか?
どうせ、昨日痴態をさらして迷惑を掛けたとか思ってるんだろうけど、そんなの見当違いだからな?好きな奴の痴態なんて普通に、ご褒美以外の何物でもないだろうが。」
俺がそう言うと
「だって、要怒ってて……。」
「怒っているって言うか、ちっとも誠一が俺の事頼ってくれないから落ち込んでんだよ。」
誠一は俺が怒っていると勘違いしているようなので、正直に話した。
「違っ!!だって、登録の時とか一杯迷惑かけちゃってだから……。」
「まだ、そんなこと言ってるのか……。俺にとってお前と一緒に居られるっているのが最大の幸せなの。誠一と共にいられるためなら俺何でもするよ。あれでお前の事縛り付けられるって俺が安心したのお前知らないだろ?」
俺が、自嘲気味に言うと驚いた様に俺を見た後、じわじわと顔を赤くする誠一。
恥ずかしいって事でいいんだよな。誠一は怒った時はむしろ無表情のはずだ。
「変なのに捕まっちゃってごめんな。でも、もう離してやれないから、誠一は素直に俺に甘えとけ。」
そう言って、最愛の人をぎゅうっと抱きしめた。
ほのかに香る誠一の汗のにおいにムラムラする。これじゃあ、どっちが発情期か分からないな。
苦笑をもらすと同時に、誠一の腹がぐーっと間抜けな音を立てた。
「とりあえず、朝食にしようか。」
何とか自身を静めて、誠一にそう声をかけた。
END
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