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エントランスにたたずむ友人に上がるように、端末を使って指示し、自分も玄関へ向かう。 まだ、季節はまだ10月だというのに、ニットキャップを深々とかぶっている姿がモニターに映し出されており、疑問に思う。まさか、問題のあるところから借金でもして揉めて、見せしめに殴られたとかは無いよな?と想像を巡らせてしまう。 小説家としての悪い癖だと分かっているが、つい目の前の事象から想像を膨らませてしまうのだ。 ほどなくして、木藤が玄関のドアを開けると、そこにはもうエレベーターから降りた堤が向かってきていた。 「よお。」 軽く木藤は手を上げ挨拶をするが、堤はどこか思いつめた表情をしており、陰鬱だ。 「まあ、とりあえず上がれよ。」とリビングに招き入れ、冷蔵庫から出した清涼飲料のペットボトルを渡す。 話があるとの事で、てっきり妹さんの件が片付いた報告だと思っていたが、この思いつめた雰囲気は何だ?木藤は内心、首をかしげる。 「まさか、妹さんの件で何かあったのか?」 気心の知れた友人ということで単刀直入に聞く。 大切な友達だ。何か協力できることがあれば何だってする。木藤は堤 誠一のためなら多分、何でもしてしまうだろうと考えていた。 「いや、妹の件はすべて解決している、借金を返す目処もようやく付いた。」     
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