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といっても、まずは症状の安定が最低条件であるし、今の俺は働くことすらできないのだから、どうしようもない。
高校は結局、通信制の学校に転校した。
今まで通っていた学校とは一応話し合いの場を持ったけれど、結果として通学は難しいという結論になった。
奇異の目にさらされながら通えるだけの覚悟も俺には無かった。
要も一緒に転校すると言って聞かなかった。
勿論、俺も学校も止めた。
俺が辞めるからといって、要まで辞める必要は何一つないのだ。
わざわざ大変な道を選ぶ必要はない。
そう言った俺に要は笑っていた。
「誠一の居ない学校に通っても意味がないだろう。」
前に、俺が堤に会うためだけに高校通ってたって言ったら信じるか?と言われたことをその時思い出した。
冗談だと言っていた筈だ。
何度も話合って、それでも要は折れず、結局二人で転校することになった。
要は、執筆活動に集中できると喜んでいた。
それすら、俺の登録費用が莫大だったためじゃないかと、俺の所為なのではないかと、言ってしまいたかったけれど言えなかった。
お金のこと、将来のことよりも要に嫌われることが怖かった。
レストランへ食事に行くとしても、要が個室を予約しているか、貸切にしていることを知っていた。
要は些細なことだと言っていて、事実そう思っている様だった。
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