限定一名

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「芹香……あの。圭太と……って、ほんと?」 夕焼けの差し込む廊下で、芹香は頬を赤らめた。 「うん。ダメ元だったけど、オッケーだった」 「そっか……あ、おめでとう」 「ありがとう。睦美は……ほんとにいいの?」 「え?」 芹香は、どこか申し訳なさそうに目をすがめた。 「補欠なら、まだ空きがあるって圭太言ってたよ」 「…………はぁっ!?」 わたしは、芹香の止める声にも耳を貸さず、駆け出した。 補欠って何!? なんなの!? 彼女は芹香だけど、まだ受け付けますってこと!? どんだけうぬぼれてんの! そりゃあ、顔はいいけどさ! 圭太がかるた部に入った途端、入部希望者が殺到したけど! 一週間で百首覚えられなかったら入部を認めないって言っただけで大半は辞めていったけど、覚えられなくても本当にかるたやりたい人はちゃんと受け入れてあげて、丁寧に指導した圭太が好きだったよ。 運動神経だっていいのに、畳のはげた和室で、廃部寸前だったかるた部に入ってくれた圭太が好きだったよ。 わたしが勝手にやってた朝練に、いつの間にか付き合ってくれるようになった圭太が好きだったよ。 なかなかうまくならないわたしを、いつも励ましてくれた笑顔の圭太が好きだったよ。 それなのにっ!!!
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