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「…しかし長老…教王に黙っておくなんて、大丈夫なんでしょうか…?」
父親がそう心配そうに、長老に尋ねれば長老は答える。
「ふん…あの傍若無人な教王に、バレたりすれば…この子供をよこせと必ず言う筈じゃ、そうはさせん…
所詮は伝承など創作の話に過ぎん、じゃから…お主は女房とこの産まれた赤子を育てる事に集中するんじゃ」
「は、はい…ありがとうございます、長老」
ーー 2年後 ーー
「崩落だ…!崩落だぞ!」
「被害は!?」
「家が一つ奈落に落ちた!」
「誰の家だ…!?」
「…お、おお…なんという…事じゃ…」
「そんな…子供が産まれたばかりだってのに…」
呆然とする人々、その視線の先には、土台が崩れてその部分だけ建っていた建物が無くなった様になっていた。
周りの民家を見れば、切り立った崖沿いに丸太や板を駆使して、足場を築き上に建物を建てた様な…“橋の上にある村”と言った様な場所だった。
その下はどこまでも続く奈落、そう、その奈落に家が一つ落ちたらしい。
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